この記事はスワッピングの実態を伝えるため、倶楽部N会員の体験をもとに構成したフィクションです。

「5年かかりました。始めるまで」

Hさん(46歳)はそう言って、少し笑いました。隣でYさん(43歳)が「正確には5年と3ヶ月ね」と補足する。二人でまた笑う。結婚18年目の夫婦の間には、この話題への慣れというか、ある種の余裕が漂っていました。

この話を聞いたとき、「5年って長すぎない?」と思いました。でも話を聞き終えた後、「むしろ5年かけたから今がある」という気がしてきました。

最初のきっかけ

Hさんが初めてスワッピングの存在を知ったのは、40歳の誕生日前後のことでした。ネットで偶然読んだブログに、スワッピングを実践している夫婦の話が書いてあった。

「最初の感想は、こういう人たちがいるんだ、でした。異常だとも普通だとも思わなかった。ただ面白いな、という感覚」

その日は読んだだけで終わりました。でもその後、頭の片隅からその話が消えなかった。

「じわじわ気になっていく感じがあって。それで2ヶ月後くらいにYに話した」

Yさんの最初の反応は「保留」でした。

「拒絶じゃなかったんです。なんというか、想像がつかないという感じで。良いとも悪いとも言えない、という状態」

そこから5年間、二人は断続的にその話をしながら、でも具体的に動くことはありませんでした。

なぜ5年かかったのか

「急いでいなかったから」とHさんは言います。「Yが嫌なら絶対にやらない、という前提があったから。Yの気持ちが固まるまで待てばいい、という感覚でした」

Yさんはこの5年間を振り返って言います。「最初の数年は情報収集の時期でした。スワッピングって何なのか、実際にやっている人はどういう気持ちなのか。自分がどう感じるかのイメージが全く湧かなかったので、まずそこから」

2人で体験談を読んだ。コミュニティの存在を調べた。どんな人たちが参加しているのかを知った。

「3年目くらいに、Hが言っていることの意味がやっとわかってきた気がした。それまでは正直、理解できていなかったんですよね」とYさん。

子育てが一段落したのが4年目。そのタイミングで「そろそろ本当にやってみようか」という話になりました。

「子供のことで頭がいっぱいだった時期には、こういう話をする余裕がなかった。でも子供が手を離れて、改めて二人の関係を見直すタイミングで、この話が自然に戻ってきた」とYさん。

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サービス選びと相手探し

動き始めたとき、二人が最初にやったのはサービスの選定でした。

「本人確認があるかどうか、特定商取引法がちゃんと記載されているかどうかを一つ一つ確認した」とHさん。「見ず知らずの人と会う話なので、そこは一切妥協したくなかった。本人確認なしのサービスは最初から除外しました」

倶楽部Nを選んだのも、全会員の身分証確認が必須というポイントが大きかったとYさんは言います。「顔の見えない相手と会うのが一番怖かった。確認されているということが、一番の安心材料でした」

相手を探す段階でも、急がないことを徹底しました。プロフィールを眺めて、気になる方にメッセージを送る。返信が来たらやり取りを続けながら価値観を確認する——この段階に1ヶ月以上かけました。

「焦ると判断がおかしくなる。これはHがずっと言っていたことで、実際にその通りだと思います」とYさん。

マッチングしたBカップルとはメッセージを2ヶ月ほど交換しました。NTRへの考え方、ルールへの考え方、お互いのNG事項を確認した。「条件の確認だけじゃなく、普通の話もした。どんな人か知りたかったから」とHさん。

初日は食事だけで終わった

初めて4人で会ったのは、都内のレストランでした。

「その日は食事だけで解散しました」とYさん。「もともとそのつもりで。最初から全部やろうとしなかった。まず会ってみて、どういう人かを確認する段階と割り切っていた」

食事は2時間ほど。話していてわかったのは、Bカップルも同じように慎重に相手を選んできた、ということでした。価値観の共通点も多かった。

「帰り道に二人で話して、また会いたいと思えた。だから次の約束を入れた」とHさん。

2回目は同じメンバーで、今度は活動まで進みました。「2回目は緊張よりも楽しみという気持ちが大きかった。相手のことを知っていたから」とYさん。

体験後の変化

現在は年に5〜6回のペースで活動しています。

夫婦の関係の変化についてYさんは言います。「Hが私のことをより丁寧に見てくれるようになった気がします。私も同じです。お互いを改めて『この人は魅力的だな』と見るようになった」

「普段の会話が変わった」とHさん。「性のことだけじゃなくて、感情の話、好みの話、深い話ができるようになった。スワッピングを始める前と比べると、二人の会話の質が全然違う」

5年かけたことへの後悔はないか

聞いてみました。

Hさんは即答でした。「ないです。むしろその5年が必要だった。Yが自分で納得して、自発的に始めたから、今の安定がある。俺が急かしていたら、今頃どうなっていたかわからない」

Yさんも同意します。「5年間、Hは一度も急かさなかった。それが一番大きかった。自分のペースで考える時間をくれたから、自分でちゃんと決断できた」

最後に、これから始めようとしているカップルへのメッセージを聞きました。

Hさん:「相手選びを絶対に妥協しないこと。本人確認済みのサービスを使って、時間をかけて信頼できると感じた相手だけ選ぶ。あとは急がないこと。早く始めることに意味はない」

Yさん:「パートナーへの信頼と、相手への信頼。この二つが揃っていないなら始めるべきではないと思っています。揃ったときに始めれば、良い体験になる可能性が高い。焦ったら確実に失敗します」

5年という時間は、二人にとって必要だった時間でした。そしてその時間が、今の安定した活動の土台になっています。

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